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ヴィンテージファーム対談『情熱畑』

第二回『栽培へのこだわり』

[写真 左/右]ヴィンテージファーム農場長:萩野敏明(はぎのとしあき)/ヴィンテージファーム総監修:志村富男(しむらとみお)氏

開場式から3ヶ月、梅雨が明けて本格的な暑さを迎えているヴィンテージファームで、ぶどう栽培にかける熱い想いをお二人に語っていただきました。

お二人の出会い

イメージパートナーは萩野しか考えられなかった

志村:
初めて顔を合わせたのは、だいぶ前、長野県の斑尾ワイナリーだったね。
萩野:
そうですね。91年の5月か6月だったと思います。志村さんが立ち寄られて、その時に初めてお会いしました。
志村:
仕事で斑尾に立ち寄ったときに、初めて会ったんだよね。
萩野:
当時農場は立ち上げた際の責任者が退職したあとで、ぶどう栽培の経験者が私以外にいなかったため、私が責任者を務めていました。初めてお会いした時は、私自身も農場自身も、方向性が見えずにもがき苦しんでいた時です。
志村:
そんな様子が伺えたので、当時の萩野君のことはとても記憶に残っていました。その後、シダックスの社長から「ワイナリーを中伊豆に立ち上げたいので責任者として参加して欲しい」という要請をいただきました。壮大で魅力的な計画でしたが、私は当時マンズワインに籍を置いていたので、専任になることは難しかった。誰か適任者はいないかと考えた時、「萩野しかいない」と頭に浮かんだんです。早速相談したところ、快い返事をもらえました。

イメージレインカット方式にチャレンジしたかった

萩野:
斑尾に3年間勤務して、年によってはいいぶどうもできました。斑尾はぶどう栽培の適地で、いいぶどうを作れるという手応えは感じていました。ですが、志村さんからお話をいただいた頃というのは、志村さんが開発した「マンズレインカット方式」が世に知れ渡った頃で、とても興味がありました。聞くところによると、中伊豆のワイナリーではレインカット方式を採用するとのこと。勝沼にも足を運んで栽培方法も見せていただき、とても興味を持ちました。伊豆は雨が多くて湿度が高く、ぶどう栽培の適地だと言えないということは承知していましたが、レインカット方式にチャレンジしたいという気持ちが強くなり、お受けすることを決めました。93年、ひと夏中梅雨の明けない年でした。
志村:
農場の立ち上げは、苗の植付け・架設と繊細な作業が求められます。そんな状況から7年間、基盤づくりを担ってもらった。当時から携わっているスタッフと話をする機会があると、いまだに萩野の真面目さ・厳しさの話になるほど。現在10haという広さを持ち、毎年ワインコンペンテーションで入賞するようなワイナリーに成長しましたが、その基盤はまさに萩野が作ったものと言えます。
その後、萩野の考えとワイナリーの方針にズレが生じ、山梨に来たいという相談を受けました。いくつかのワイナリーを紹介したが、萩野の高い理想に応えられるワイナリーはなかなかありませんでした。

ヴィンテージファームの責任者として萩野を指名した経緯

志村:
国内外10ヶ所以上のワイナリーの立ち上げに携わらせていただきましたが、そろそろ地元に貢献したいと考えるようになった。地元山梨で最高のワインを造りたい。最高のワインを造るには、最高のパートナーが必要です。その相手として浮かんだのは、やはり萩野しかいなかったんです。萩野も理想のぶどう作りができずに悩んでいたけれども、ヴィンテージファームでなら2人で理想のぶどう作りができるという考えがあり、声をかけました。
萩野:
当時は勝沼のワイナリーで働いていましたから、少し考える時間をいただきました。ですが、ぶどうの適地である高冷地でのワイン作りに取り組みたかった。最終的にはぜひ参加させてくださいと回答しました。

これまでに手がけてきた農場について

萩野:
学校卒業後、神戸の農場に勤務しました。神戸での栽培は、病気との闘いでした。初めて栽培に携わったので、ぶどうの栽培に病気は当たり前だと感じていたのですが、しばらく経ってから実は神戸はぶどう栽培が難しいところだということがわかりました。そこで、ぶどう栽培の適地である長野での仕事に移りました。神戸のぶどうは、収穫前に酸度が一気に下がる。そこで慌てて収穫するので、糖度があまり上がらない。長野のぶどうは気温の低下とともに酸度の下がりが鈍り、糖度が上がるのを待ちながら収穫時期を迎えられる。適地での栽培は明らかな違いがありました。中伊豆も神戸同様苦労することは分かっていましたが、レインカット方式を導入したことで病気は少なくて済みました。
志村:
私は様々なワイナリーでの仕事を経験してきましたが、マンズワインでの経験がやはり大きい。マンズレインカット方式は、農業部門では初めて科学技術庁長官賞をいただいた。その後、様々なワイナリーから声をかけられるが、やはりマンズワインに育ててもらったという意識は強く持っています。中伊豆以降は、不適地から声をかけられることが多かった。下北半島や大分の国立公園内、宮崎の霧島神社のふもと、どれも不適地ばかりで、ぶどう栽培をすると言えば「バカじゃないか」と言われるようなところばかり。だけど、どの農場でも大切な出会いがあり、真剣に取り組むスタッフがいて、どのワイナリーもコンペンテーションの常連になっている。不適地では従来の品種の栽培は難しいので、適合する品種を開発するということも重要になります。
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ヴィンテージファームにおける今後の夢

イメージここでしか生産できない品種でワインを

志村:
ヴィンテージファームから、ここでしか生産できない品種でワインを造り、世界に認められるワインを生産したい、そんなことを考えています。
萩野:
ここではいいものができることは分かっている。ぶどう栽培の適地で、いいものをしっかり作る事、それが私の喜びです。よく「ぶどう栽培は苦労しますね」と言われますが、苦労と努力は違う。苦労の量とぶどうの出来は反比例。天候不順の年や不適地でぶどうを作るのは苦労が必要ですが、苦労すればするほど、ぶどうの出来は悪いということ。ヴィンテージファームでは、環境的に苦労することはないので、しっかり努力すればいいぶどうができます。
志村:
萩野もいろんな場所で、いろんな苦労があったと思うが、ここではぶどう作りを楽しんでもらいたい。昔は最高品種と言われるものを日本で栽培したかったが、それをしたければヨーロッパに畑を持てばいいという話。国内で栽培する場合、その土地の気候や土壌にあった、安心して育てられる品種を最高のできにすればいい。ぶどう作りの最後の瞬間、収穫の時に、最高の喜びを感じてもらいたい。

ワインオーナー様へのメッセージ

イメージ皆様にお越しいただける農場をつくります

志村:
オーナー様にはぜひ畑を見ていただきたい。開場式で植え付けを体験された方もいらっしゃいますが、その後スクスクと生長しています。その生長を支える現地の管理者の熱い想いを感じていただきたい。9月25日に行われるイベントでは、農場の見学をしていただいた後に、私がこれまで携わったワイナリーのワインを味わっていただき、ヴィンテージファームでのワインの完成をイメージしていただきたいと考えています。生食用のぶどうとワイン用のぶどうの食べ比べ等、通常の試飲だけのイベントではなく、見て、触って、味わって、楽しんでいただけるイベントを企画しています。ぜひ足を運んでください。
萩野:
来年しっかり収穫できるよう、しっかり管理しています。農場にお越しいただいた方に、「また来たい」と言っていただけるような農場にするよう、スタッフ一同頑張ります。

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